「時が滲む朝」 楊逸著
あまりパッとしない表紙。
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中国青年の、夢と挫折と、その後の日本での小市民的平和を描いている。
若き夢多かったひたむきな青年が、国家権力というより、大きな時代の流れに翻弄されていく様が切ない。
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主人公のその時々の思いは、朝陽の中で滲み出てくる。
漢詩には少し驚いたが、こういうのも悪くはない。 

天安門事件から、その後の日本での平穏な暮らしを描くのに、150ページはいささか少ない。 ダイジェスト版のよう。
しかし逆にその不足した分、読む側に自由な思いを抱かせるものがある。

一般の評価は芳しくないようだが、わたしの心には染みた作品。

過ぎし日の、ほろ苦き思い出に、乾杯!

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